急性胃腸炎
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急性胃腸炎
急性胃腸炎とは、胃腸の粘膜が何かしらの原因により障害をきたし、粘膜が炎症を起こしている状態です。
炎症を起こした粘膜は腫れ、急性発症の下痢や吐き気、嘔吐、腹痛を引き起こします。
胃腸の粘膜に障害を起こす原因にはさまざまなものがありますが、ウイルス性をはじめとした感染症が多く、一般的に急性胃腸炎というと、感染性胃腸炎を指すことが多いです。
急性胃腸炎の原因は、感染によるものが多く、薬剤やアレルギーが原因となることもあります。
感染症によるものは、ウイルス性、細菌性、その他の感染性胃腸炎に分けられます。
・ウイルス性胃腸炎
小児の下痢の原因は、大半がウイルスの感染によるものであり、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスが代表的です。
特にノロウイルスとロタウイルスが原因となることが多く、ロタウイルスは5歳未満のお子さんのほぼ全員が感染すると考えられています 。
年齢が高くなるにつれロタウイルスでの急性胃腸炎の頻度は少なくなり、ノロウイルスによるものがその大半を占めるようになります。
・細菌性胃腸炎
乳児期以降の小児や成人では細菌感染が原因の急性胃腸炎にかかることがあります。
生卵や生肉の摂取によって感染が成立することから、食中毒の一種として捉えられることもあります。
原因となる細菌には、カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌などがあります。
厨房で調理する人や学校・家庭内に感染した人がいる場合、ウイルスが付着した料理を食べたり、手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染します。
夏場に感染者が増える細菌性胃腸炎の原因となるカンピロバクター菌は、鳥類や犬・猫などのペットの腸に存在します。
鶏肉、生卵、牛肉などをしっかり過熱していなかったり、料理の際にまな板や手に細菌が付着していたりすることによって感染します。
・その他の感染性胃腸炎
ウイルス性と細菌性以外にも急性胃腸炎を引き起こす感染症があります。
ランブル鞭毛虫が原因のジルアジアや、オーシストという嚢包体に汚染された水や植物を摂取することで起こるクリプトスポリジウムなど、寄生虫による感染症もあります。
急性胃腸炎の症状は、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などがあります。
その他、腹部の張り、腹部膨満感、食欲不振を訴える方もいます。
嘔吐や下痢により、脱水症状が起きると、小児であれば不機嫌になる、ぐったりした感じが強い、などの症状がみられるようになります。
また、合併症を引き起こすこともあり、細菌の種類によっては、手足の動かしにくさ、血便、貧血、けいれん、意識障害などが発症することもあります。
急性胃腸炎は、臨床経過や診察から診断されることが多いです。
脱水の症状が強いときや合併症を伴っているとき、食中毒などの集団感染が疑われるなどの状況があれば、検査にて確定診断が行われることもあります。
ノロウイルスやロタウイルスは、便を用いた検査が可能です。
細菌性急性胃腸炎であれば、便を顕微鏡で確認したり、培養をしたりすることで、原因となる細菌を調べます。
また、脱水の程度を調べるための血液検査や尿検査が行われることもあります。
腸管出血性大腸菌が疑われる場合には、ベロ毒素と呼ばれる毒素を検査することもあります。
また、貧血、血小板、腎機能の障害を調べるために血液検査を行うこともあります。
水分・糖分・ミネラルを適切に摂取しながら、脱水を避けることが必要があります。吐き気が強く水分摂取がままならない場合、極少量ずつ、頻回に水分摂取をすることが大切です。
市販の経口イオン水を摂取することも有効な手段です。
口から水分が摂取できず、脱水の程度が強い場合には、点滴による水分補給を行います。
下痢止めは腸内にある病原体を体内に押しとどめてしまい、その分身体が毒素を吸収してしまう可能性があるため基本的には使用しません。
腸内環境を回復させるために、整腸剤や乳酸菌製剤などの内服薬を処方することもあります。